AI時代に必要な法務について

 近年、AIの発展が著しく進んでいることは、皆様もご承知のことと存じます。
 実は当事務所の代表弁護士は、数学が得意科目であったことから医学部に進学することを真剣に考えていた時期があったという経緯も影響してか、理系の親しい知人友人が多い環境におります。
 そして、彼らからの最先端の情報に接していたため、新聞等のメディアでAIについての報道がなされるようになる約10年前から、AI時代に必要な法務を追求して参りました。
 AIは、大量の過去の情報を収集して整理する能力に長けておりますが、比較的単純で再現性のある紛争はともかく、取引関係や人間関係、そして感情が複雑に入り組んだ紛争の実態を理解して整理することは、AIにも経験値の高い弁護士にも至難の業といえます。
 そして、現実には、紛争を解決するにあたっては、事実関係や感情をゼロから深く聞き取って受け止めるという作業も必要となることから、関与する弁護士の人間性までもが、その結果に大きな影響を及ぼす部分が大きいという実態もあります。
 特に、和解による解決の場面においては、「法律が適用されれば結果は決まっている」と強弁するような前時代的・権威主義的な人間性の弁護士が真の和解解決を導くことは非常に難しいといえます。

 昨今は弁護士業界にもAIは浸透してきており、特に大量のデータ整理や第一次的かつ比較的単純な法適用の結果分析に関して一定程度は有用と評価できると思われますが、ブラックボックスの中で大量のデータの収集と構築を行う特性を持つAIが、この世に存在しない裁判例を作り出してしまい、弁護士が安易に援用してしまうなどの事件や問題も生じてきております。
 当事務所代表弁護士は、AIだけでは整理や解決が難しいと考える案件にこそ弁護士の存在意義があると考えてきたため、特に紛争の予防法務に注力しておりますが、将来的には、裁判官の仕事の相当部分はAIで代替できても、人や企業に寄り添い、紛争の芽を察知し予防する弁護士の業務はAIに代替することができない、という現象が生じるのではないかと推察しております。
 また、企業・法人と個人顧客との紛争・労働紛争の解決についても、個人顧客(社員)の感情に最大限配慮することが必要であり、双方と既知の人間関係にはない裁判所による法適用の結果としての判決が、必ずしも最善の解決になるとは限らないという意味において、当事者の近くで人間に真摯に向き合う弁護士には独自の存在意義があると考えております。
 そのため現在、当事務所は、人間として信頼関係を構築し維持していくことのできる顧問法人様やご紹介様の案件に集中して活動させて頂いております。
 当事務所のホームページ上の画像の一部は、当事務所開設年である2025年にChatGPTが大流行した、まさにその時期に、世界的大企業の役員の友人にChatGPTを利用して作製して頂きましたが、ChatGPTなどの対話型AIに安易に相談したことが原因となって、むしろ大きな問題が発生したり事件化したりすることがあるという認識も広がっております。
 すなわち、AIを利用する人間の発想力、想像力、判断力、そして人間性によっても、その人間の行動や発生する結果が大きく変わりうるということです。

 また、昨今はAIの浸透によって新社会人が技術や経験を身に着けることが難しい時代ともいわれておりますが、AIからの回答や回答どおりに行動した際に生じる結果の是非を見極められるようになるためには、AI浸透前の時代において行われていたコツコツと地味なトレーニングの重要かつ本質的な要素も身に着ける必要があり、結局、大量のデータを活用した比較的単純な事務処理作業を超えるような知的業務に関しては、AIを利用し人間が楽をすることだけでは、大きな成果を引き出すことは難しいということになると考えます。もちろん、今から10年~15年後には、自律的に判断し行動するAIエージェントやヒューマノイドが活躍する時代が到来し、人間が楽をすることができる局面は増加するものと予測されますが、法的観点から申し上げますと、そもそもAIエージェントにどのようなデータをインプットすべきなのか、もしも法律違反があった場合に最終的にどの立場の人間や組織が責任を負うべきか、といった問題を含むAI利用における各種ガバナンスの問題も多く発生してくることになりますので、経営判断に関する人間の役割や責任は、むしろ重くなる可能性もあります。

 弁護士は人の人生や会社の命運を左右してしまうような職業であり、単純事務処理作業といわれる業務ももちろんございますものの、感情的解決まで織り込むべき革新的な知的業務も数多く存在致します。
  当事務所は、医療分野をはじめとするAI開発に関わる業務、AI利用による成果物の著作権等の知的財産権に関わる業務なども行っておりますが、AIからの回答やアドバイスとは趣を異にする、人間同士の感情的対立を解消し人間関係を改善・再構築できるような回答やアドバイスを行うことに最大限注力し、人間本位の弁護士活動を行っていきたいと考えております。

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